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#6 「今日から花粉症は病気ではなく個性になりました。」<障害個性論を考えるためのフィクション>

このシュールなフィクションも次で最終回です。

今までの回はこちら
https://koume2019.blog.fc2.com/blog-category-16.html





ぎょっとして固まっている招待客
―多くはユーチューバーや有名ツイッタラー、いわゆる「インフルエンサー」である―

に、惜しげもなく俺たちは噴霧器からぶしゃ~と液体を吹きかける。

農家のおじさんとかが農薬かけるのに使うあれだ。


「なにこの青いやつ!?服汚れるし!」

「きゃ、こっちは真っ赤なんだけど!?」

「え、も、もしかして、毒??」

もちろん、農薬を散布などということはしない。

「うわ、何されるんだよ俺ら!?てかもう服が変な色だらけだよ!」

「助けて!!てかなんか臭くない?」


阿鼻叫喚だ。
皆さん演技がお上手でいらっしゃる。

そう、彼らは皆「仕込み」、つまり彼らも同士である。


さあ、祭りだ。
今までの憂さをみんな噴霧器にぶつけていた。

仕込みの被害者達は逃げつつ叫びつつも皆どこか楽しそうだ。



あー、皆ではないか。


最初にチルタカが告げたがこれはライブ配信だ。

このファンミーティングの「ファン」とは、
今この動画を見て恐らくぽか~んとなっている視聴者、

同じくぽかーんかキレ散らかしているであろうMMMMの担当、



「おい!これはどうなっているんだ!!頭がおかしくなったのか?」

そして本日の主役様だ。

もちろん彼にも大量に液体をかけてあげた。
おかげで非常にカラフルなシャツときりっとしたスーツという、何とも言えない風体になった。

主役様が台本もないのに自らチルタカの方へおいでなすった。
主役様はやはり風格が違う。


当然、彼には生で驚いていただきたいから、事前に内容を教えるなどという野暮なことはしていない。

今のところ彼は120点の働きを見せている。


「くしゃみの飛沫は2~5m飛び散るそうです。

―ちょうど、皆さんにかぶってもらった色のついた液体、噴霧器の飛距離がそのくらいです。

だから皆さんが屋内でくしゃみしまくると、実はこの色が付いた部分に飛沫が飛んでるってことですね」


店内は、幼稚園児が幼稚園ごと押し寄せていたずらしたとしても
ここまでならないだろうというくらいには原色のしぶきで覆われていた。

ちなみにこちらの店主も当然「同士」である。

大規模改装前だからというので特別に許可していただいた。


「ご心配いりません、中身はただの酢と絵具を水で薄めたものです。

もっとも、それを信じるならですが。
もしかしたら、僕が意図せずに菌とか繁殖してるかもしれませんね」

主役様をよそに淡々とチルタカが告げる。



「えっ?くしゃみってそんな飛び散ってたの?」

「うそ、なんか汚いのかな…」


皆さんアドリブでどんどんぶっこんできますなあ。
…よく見たら、皆さん白めの服を着てるね。流石名役者達。

名役者達の服も顔ももう絵の具がまんべんなくかかって、
前衛アートを思わせる空間が出来ていた。



「おい!!この私を招待しておいて何だこれは!?

おふざけで通用すると思っているのか!?

というか質問に答えろ!!これは何なんだ!」


本当に彼に台本を用意していなかったか、と思わせるほどに
思った通りのリアクションをしてくれる。
役者か芸人になった方がいいんじゃないだろうか。
なおも主役を無視しチルタカは続けた。



「さっきも言ったように、俺は昔「花粉症は個性」って言ってブレイクしました。

その時俺は…いや、言いなれないんで止めますね。


僕は、本当に花粉症を明るくとらえたいって気持ちでその言葉を言いました。

けど、その言葉はどんどん独り歩きして、どんどん拡大解釈されていきました。


そして俺もそれを止めませんでした。
売れたかったからです。有名になりたかったんです。

気が付けば、人に迷惑かけてもそれが個性だから理解しようね。

ちょっとお互い我慢し合えばみんな過ごしやすくなるんだ。

そういって、どんどん元気な人にしわ寄せが行く社会、他人の迷惑を気にしない社会が出来かけています。



確かに、そういう風に売っていきなさいと指示したのはMMMMさんです。
でもそれに言いなりになり続けたのは僕です。

そしてつい先日、花粉症の薬が保険適用外になったり、
無花粉スギの植え替えを止めるって法案が国会で出ました。


昔だったら間違いなくどこかの新聞やメディアが大きく取り上げるでしょう。
でも実際は非常に小さな扱いでした。

そのくらい花粉症を個性と、もっとわかりやすく言えば病院にかかるようなものじゃないとしたのは
間違いなく僕の言動が発端です。




個性は、責任とセットで付いてくるものなんです。

自分を認めてもらう代わりに、自分のしたことは自分で何とかするってことと同義なんです。

個性に社会保障も、社会的配慮もついてこないんです。

そんな簡単なことさえ、僕は気が付きませんでした。



だから―」


チルタカは彼に向き直った。


「A議員。

あなたのおかげで、僕は当たり前のことに気が付けました。

本当に、本当にありがとうございます」
チルタカは深々と頭を垂れた。


A議員、先ほどまで文句を垂れていた今日の主役であり、

そして俺とチルタカ、そして同士達をつなげることとなったキーマン。

例の法案を提出したのも彼である。




「な、なんだ、社会保障費削減のために削れるところを削っただけだぞ。

そんなに恨みでもあるのか、というか俺は代表として法案を提出しただけだ!それに…」


俺は泡を飛ばして話す彼とチルタカの間に割って入る。


「はいは~い、ちょっとキリないから。
じゃ画面の向こうでぽか~んとしてるみんなにも分かるように解説するね~」


いよいよ俺のターンだ。
数々の調査と準備を経て、ついにこいつを殴り返せる時が来た。


<続く 次回最終回>

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自閉症スペクトラム(ASD)・難治性てんかん持ち女性です。
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